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2008年10月29日

●ミルキーというポニー②

さてさて、ミルキーのお話の続きを…

3年前の大雪の日にやってきた真っ白のポニー
綺麗な容姿とは裏腹に、誰も寄せつけないほどに心は荒みきっていたのです。

今までに見たどの馬よりも荒れているその馬を、一時でもエオの谷においていいものか、その日一日Neoと悩んだのを覚えています。

エオの谷は…
「馬ってこんなに身近なんだよ」
「馬って優しくてあったかいんだよ」って、
伝えたいところなんです。


そんなエオの谷には、よちよち歩きのお子さま も、おじいちゃんおばあちゃんも、ときには、心が壊れそうになった方体の自由が利かない方も…足を運んでくださいます。
そのエオの谷に、近づくと怪我をするほどに咬む馬がいていいものか…
本当に悩みました…。
しかし…意味のない出会いはない、縁は必要なところに繋がっているはず…と、いつもの自分たちを取り戻したのでした。

そのポニーをエオの谷におく決心はつきました。
ただ、そのままの状態で一緒に暮らすことはできません。
ここは、心の糸を紡ぐ場所なのですから…

一緒に暮らすからには、最大限の歩み寄る努力をするつもりで、そのポニーを譲り受けることにしたのです。
ポニーとはいえ、大型犬よりはるかに大きい動物と真剣に向き合うには、それ相応の覚悟が必要でした。

譲り受けた日に、そのポニーに「ミルキー」という名前をつけました。
本当は、全然別の名前を持っていたのですが、その名前は、猛獣のようなその時の状況を、まさに助長するかのような、強く険しい名前だったのです。
よく「名は体をあらわす」というではありませんか。
強い名前ではなく、せめて、優しく愛らしい名前を贈りたくて…。

その日から、ミルキーと向き合う日々が始まりました。
本当のところ…ここまで荒んだミルキーに対して、どう接していけばいいのか見当もつきませんでした。
ただ…命ある生き物同士なのだから、絶対に心が触れ合う瞬間があるはず、とそれだけを信じ、ミルキーの前に立ったのです。

こんなにミルキーが荒んでしまったのには、やはり理由がありました。

もともと生産牧場のようなところで生まれたミルキーは、その容姿と血統の良さから、仔馬をとる母馬として重宝がられていたようでした。
実際、Tearたちの元に来たときも、まだ離乳していない仔馬と一緒で、そして、これは後になってわかったことなのですが、お腹にもまた仔馬がいたのです。
ミルキーは、ただただ母馬として仔馬を産み続け、何かの拍子に一度人を咬んでしまった事をきっかけに、殴られ続けていたようです。
咬んでしまったから、殴られた。
殴られたから、怖くてまた咬んでしまった。
そんなことの繰り返しの中で、人は殴る存在であり、殴られるのを防ぐためには、その前に咬みつくしかない…ミルキーの心はいつしか、そう悟っていったのでしょう。
その後、生産牧場から個人の手に渡り、その方のもとからエオの谷にやって来たのですが、その時ミルキーを世話していた方は、いつもミルキーの咬み痕だらけだったと聞きました。

そんなミルキーの生い立ちを聞き、Neoと二人で誓ったことは、どんなことがあってもミルキーに対して、決して自分たちの強い部分は見せないということでした。

まず、わかってほしかったのは、人の手は怖いものではなく、優しく心地よいもの なんだということ。
その日から、真剣にミルキーと向き合った結果、TearとNeoの心はミルキーに通じたのでした。
ミルキーは日に日に、優しい表情になり、本来の美しさを取り戻していったのです。

そして…心を取り戻し始めたミルキーに、一緒に向き合ってくれた仲間がいたことをTearは忘れません。
そのころ、メンタルの病気で、毎日のようにエオの谷に通って来ていた友人は、ミルキーの生い立ちを聞き、一緒になってミルキーに接してくれたのでした。
人とポニー…心の痛みを知っている者同士、お互いに励みにもなったのでしょう…。
ミルキーを見つめる優しい彼女のまなざしは、Tearたちの心をもあたたかくしてくれました。

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